タロットカードには、ウェイト版とマルセイユ版の2種類がありますが、「ライダー版」という言葉を聞いたことがある方も、多いのではないでしょうか。
よくタロットカードを購入するときに、専門店のサイトなどを見ると、「ウェイト版(ライダー版)」と書かれていることも在り、なおさら解りづらかったりすると思います。
元々、ライダー版はウェイト版の一部のカードに付いて使う言葉ですが、今回はそんなライダー版とウェイト版の違いについて、詳しくお話しします。
この記事をご覧いただければ、あなたもその2種類のカードの違いがお解りになるでしょう。
タロットのライダー版とウェイト版とは
では基本的なところから、ライダー版とウェイト版とはどんなタロットカードなのか、その点から解説していきましょう。
その上で、2種類のカードの違いについてお伝えいしたいと思います。
タロットの歴史とライダー版
タロットカードは15世紀に北イタリアで誕生しますが、当初はカードゲームなどの娯楽用のカードでした。
そんなタロットカードが、16世紀に入るとフランスのマルセイユ地方で、活版印刷により大量生産されるようになり、その頃から占いにも使われだします。
こちらの「タロット・オブ・マルセイユ」がその当時のデザインを復刻したもので、マルセイユ版のタロットカードとして大量に作られました。
するとその頃から、タロットカードは占術としての用途が高まり、様々なタロットカードが作られます。そして、20世紀初頭にライダー版のカードデッキが登場するのです。
そんなタロットの歴史については、こちらの「タロットカード初心者に知って欲しい<種類、構成、歴史>」で詳しく解説しています。
※16世紀のままに復刻したタロット・オブ・マルセイユ
ライダー版のタロットカード
ライダー版のタロットカードとは、1909年にイギリスのロンドンにあるカード印刷会社、ライダー社から発売されたタロットカードデッキです。
このカードは、神智学者のアーサー・エドワード・ウェイトが、画家のパメラ・コールマン・スミスに描かせた78枚のカードデッキで、従来のマルセイユ版とは一線を介するものでした。
彼はマルセイユ版が持つ、キリスト教的な宗教色を排除して、当時の神秘主義思想を反映させたカードデッキを作り上げたのです。
このライダー社から発売されたカードを指して、「ライダー版タロットカード」というようになりました。
※Wikipedia引用:パメラ・コールマン・スミス
ウェイト版のタロットカード
では、ウェイト版とはどのようなカードなのでしょうか?
先のライダー社から発売されたライダー版タロットカードは、それまでのマルセイユ版とは、いくつかの点で違いがありました。
大アルカナのカード構成が違っていたり、小アルカナが全て絵札で構成されるなど、とても特徴的なカードデッキだったのです。
そんなライダー版の特徴を、引き継ついだタロットカードデッキを総称して、考案したアーサー・エドワード・ウェイトの名を取り、ウェイト版タロットカードと呼びます。
ですから、ウェイト版のタロットカードとは、当初ライダー版として発売されたカードであり、その特徴を引き継いだカードデッキだと言えるでしょう。
※ウェイト版の絵札で描かれた小アルカナカード(ソード)
ライダー版とウェイト版の違いを定義する
ではライダー版のタロットカードと、ウェイト版のタロットカードの違いとは、どんなところでしょうか。
ライダー版とウェイト版の違いは定義付けされていない
先に申し上げたように、ウェイト版のタロットカードとは、当初ライダー版として発売されたタロットカードだといえます。
そして私が調べた限りでは、ライダー版とウェイト版の明確な違いは、Wikipediaなどにも特に記載されていませんでした。
ですが、長年タロットカードに携わってきて、漠然と感じてきた、その呼び名の違いを、ここでは私なりに定義付けして説明しておきましょう。
きっとあなたも同じようにタロットカードに触れていいれば、この2つのカードの違いに納得いただけると思います。
それに、タロットカード初心者にも、きっと解り易いでしょう。
ライダー版タロットカードの定義
まず、ライダー版のタロットカードとは、ライダー社で発売された、パメラ・コールマン・スミスのデザインのタロットカードを忠実に再現したものです。
例えばこちらの「RWSタロットカード」や「A.E.Waite プレミアム」は、まさにライダー版といって良いタロットカードデッキでしょう。
元々、RWSとは「ライダー・ウェイト・スミス(Rider・Waite・Smith)」の略であり、作成に携わった3者の頭文字を取ったカードデッキです。
そしてA.E.Waite プレミアムは、アーサー・エドワード・ウェイトが作った、ライダー版のタロットカードデッキをより忠実に蘇らせた復刻版といえるものです。
ですから、この2つのカードデッキのように、ライダー社で発売された、当初の絵柄を忠実に再現されているカードデッキが、ライダー版タロットカードとなります。
※ライダー版の背面まで忠実に再現したA.E.Waite プレミアム
ウェイト版タロットカードの定義
ではウェイト版のタロットカードとは、アーサー・エドワード・ウェイトが考案した、カード構成で作られたタロットカードデッキの総称です。
ですから、ウェイト版のタロットカードというと、大アルカナの「8番:力のカード」で「11番:正義のカード」であり、小アルカナはすべてが印象画が描かれた絵札となります。
ですから、パメラ・コールマン・スミスが描いた絵と、構図や意味付け同じであっても、絵の雰囲気やモチーフは全く異なるカードデッキも多数あります。
それらは、ライダー社で発売されて初版のカードデッキとは、明らかに異なるので、ライダー版とは言わず、ウェイト版のタロットカードデッキと言います。
ライダー版2種類とウェイト版2種類
ではここで、ライダー版のタロットカードと、ウェイト版のタロットカードの違いを、分かりやすいように写真で紹介して行きましょう。
ライダー版タロットカードの写真
どちらも、パメラ・コールマン・スミスが描いた、ライダー版のタロットカードを忠実に再現。
ウェイト版タロットカードの写真
絵柄は個性的だが、アーサー・エドワード・ウェイトが考案した構成や特徴をもつカードデッキ。
ライダー版とウェイト版の絵柄の違い
では、それぞれの大アルカナカードについて、ライダー版とウェイト版の微妙な違いを写真で見て行きましょう。
ここでは写真の上段のライダー版2種類と、下段のウェイト版4種類を比較していきます。
1:魔術師のカード
上段の2枚のライダー版の「RWS」と「A.E.Waite プレミアム」は絵柄が全く同じなのが解りますね。
下段のウェイト版の魔術師のカードは、ポーズは同じですが、それぞれが微妙に違っており、現代的な感じがします。
※ライダー版とウェイト版の魔術師のカード
11:正義のカード
こちらは大アルカナ11番の「正義のカード」です。
ライダー版もウェイト版も、もちろん11番は正義のカードとなり、右手に剣、左手に天秤をそれぞれが持っています。
※ライダー版とウェイト版の正義のカード
21:世界のカード
大アルカナ最後のカードは、21番の「世界のカード」です。「RWS」と「A.E.Waite プレミアム」で色味が微妙に違います。
ウェイト版もほぼライダー版と同じような絵柄ですが、細かな線などはやはり現代的なデザインになっており、カードを手に取ると違いが解ります。
※ライダー版とウェイト版の世界のカード
紹介したタロットカード6種類
なお、写真で紹介したタロットカードはこちです。
ライダー版:上段左から(RWS、A.E.Waite プレミアム)
ウェイト版:下段左から(ユニバーサル・タロット、ゴールデン・ユニバーサル・タロット、ゴールデン・アールヌーボー、タロット・ミュシャ)
どれもタロットの本場、北イタリアのロ・スカラベオ社のカードです。
ライダー版とウェイト版の違いのまとめ
ここまで詳しく、ライダー版とウェイト版の違いを解説しつつ、写真を付けてその微妙な違いを紹介してきました。
最後に申し上げておくと、これはあくまで私が感じている違いなので、参考程度とお考え下さい。ウェイト版でもパメラの絵に近いカードは、ライダー版と呼ばれたりもします。
ライダー版とウェイト版どちらを選ぶか?
最終的に言えることは、ライダー版もウェイト版も絵柄が微妙に違うぐらいで、カードの構成も同じですし、モチーフとなる存在も同じです。
小アルカナに関しても、ほとんどのカードがライダー版の絵柄を踏襲して、ウェイト版として描いているので、一目で何のカードなのか解ります。
その点では、タロット占いをする上では、ライダー版であろうとウェイト版であろうと、大きな違いは無いといえるでしょう。
ですから後は、自分の好みでデッキを決めて大丈夫です。