マルセイユ版タロットカードのウェイト版との違いを初心者向けに解説

マルセイユ版タロットカードのウェイト版との違いを初心者向けに解説 タロットカード

マルセイユ版、ウェイト版、ライダー版、などなど。

初心者の人が、初めてタロットカードを選ぼうとすれば、どれがいいのか迷ってしまいますよね。私も同じでした。(笑)

今回の記事では、マルセイユ版タロットカードとウェイト版との違いについて詳しく紹介します。

その2種類の違いが解らなかったり、どちらのカードを選ぼうか悩んでいる方は、ぜひ参考にして下さい。

タロットカードの素人でも解るように、素人だった私が書いていきます。(笑)

なお、ライダー版についても一部言及しますので、この3種類のカードの違いなど、全体像がつかめるでしょう。

 

3種類のタロットカードについて

まず初心者向けに、このマルセイユ版、ウェイト版、ライダー版の3種類のタロットカードの違いについて、ざっくりとした全体像を説明します。

 

3種類の関係性を図で描くと

それでは、最初に下記の「3大タロットカードの関係図」をご覧ください。

これは本当にザックリとですが、マルセイユ版、ウェイト版、ライダー版の大きな関係性を表した図です。

ご覧いただくとお解りのように、マルセイユ版のタロットカードと、ウェイト版は全くの別のカードデッキとなります。

ですがライダー版とは、ウェイト版の一部のカードについて使われる名称です。まずはその違いを理解しておきましょう。

よくネットショップの商品ページに、「ウェイト版(ライダー版)」と書かれているのには、そんな理由からです。

※マルセイユ版、ウェイト版、ライダー版の関係図
マルセイユ版、ウェイト版、ライダー版の関係図

 

タロットカードの歴史と3種類のカード

タロットカードの起源は、15世紀の「ビスコンティ・スフォルツァ版タロット」です。

その後16世紀になると「マルセイユ版タロット」が登場し、タロット占いが全世界的に広がります。

そして20世紀に入ってようやく、「ウェイト版(ライダー版)タロット」が作られるのです。

大まかなポイントはこんな感じです。

  • 15世紀:ビスコンティ・スフォルツァ版タロットカード登場(手書き、カード構成バラバラ、ゲーム用)
  • 16世紀:マルセイユ版タロットカード流通(大量印刷、カード構成統一、ゲーム&占い用)
  • 20世紀:ウェイト版タロットカード発売(カード構成変更、占い用)

なお、タロットカードの歴史については、詳しくはこちらの「タロットカード初心者に知って欲しい<種類、構成、歴史>」で紹介されています。

 

ウェイト版とライダー版の違いについて

この記事では、マルセイユ版のタロットカードと、ウェイト版との違いについて詳しく解説していきます。

ここまでご覧いただいてお解りのように、ライダー版とはウェイト版の一部のカードについて使われる名称です。

ウェイト版とライダー版の違いについては、こちらの「タロットカードのライダー版とウェイト版の違いを徹底解説」で、深堀して解説しているので、そちらをご覧ください。

また、ウェイト版のタロットカードの誕生秘話については、こちらの「ウェイト版タロットカードの歴史<ライダー版やマルセイユ版との違いも解説>」でご覧いただけます。

 

作成される時代背景による違い

ではいよいよ、マルセイユ版のタロットカードと、ウェイト版のタロットカードの違いをお話していきましょう。

まずは、それぞれのカードが作られる、時代背景による違いを簡単にお伝えします。

 

印刷技術による違い

マルセイユ版のタロットカードは16世紀に、活版印刷(木版印刷)の技術が登場することで、大量生産されました。

そのため、こちらの復刻版のカード「タロット・オブ・マルセイユ」でも解るように、絵柄も荒く原色が使われた版画のようなカードになっています。

一方、ウェイト版のタロットカードは、それから400年ほど経った、1900年代の初頭に出版されています。

その点でも、印刷技術が格段に上がっており、より繊細な絵柄が表現できるようになったのです。

※左がマルセイユ版の愚者のカード、右がウェイト版の愚者のカード
左がマルセイユ版の愚者のカード、右がウェイト版の愚者のカード

 

宗教とスピリチュアルの違い

マルセイユ版のタロットカードが作られた時代は、まだキリスト教の影響力が強い、封建社会のフランスでした。

ですから、マルセイユ版のタロットには、「5:法王」や「2:女司祭」など、キリスト教の聖職者が登場します。

そんなキリスト教の影響を排除して、タロット本来の神秘主義に経ち返り作られたのが、ウェイト版のタロットカードです。

ですから、「5:法王 → 教皇」と言われ、「2:女司祭 → 女教皇」とされています。

これにはあまり意識されませんが、宗教に関わりなく、儀式を執り行う最高位の男女という意味があるのです。

※マルセイユ版とウェイト版の教皇と女教皇のカード
マルセイユ版とウェイト版の教皇と女教皇のカード

 

「ゲーム用」か「占い用」か用途の違い

マルセイユ版タロットカードが登場した当初は、タロットカードはトランプのような、ゲーム用のカードとして利用されていました。

そのため小アルカナの数札は、トランプ同様に、ワンド、コイン、ソード、カップを表す象徴が描かれているだけです。

しかしながら、18世紀に登場する占い師のエッティラが、書籍でタロット占いを紹介して、一躍人気となります。

それによりウェイト版では、当初から占い用のカードとして様々な意味を込めた、多彩な小アルカナが作られたのです。

※小アルカナの上:マルセイユ版と下:ウェイト版の違い
小アルカナのマルセイユ版とウェイト版の違い

 

カード構成や絵柄の違い

では、さらに具体的にカードの構成や絵柄の違いについて、マルセイユ版タロットと、ウェイト版を詳しく見比べていきましょう。

 

大アルカナの構成の違い

まずは、マルセイユ版とウェイト版のカードデッキの構成の違いです。22枚の大アルカナカードでの違いは、たった1つです。

マルセイユ版のタロットカードは、「8番:正義のカード」「11番:力のカード」となり、ウェイト版では、写真のようにそれが入れ替わります。

ちなみに、あとのカードは全て微妙に絵柄の雰囲気が違えども、構成もカードの意味も全て同じです。

大アルカナカードの意味については、こちらの「タロットカード大アルカナ22枚の意味と解釈のポイントを一覧で紹介」をご覧ください。

全ての大アルカナカードの、マルセイユ版とウェイト版を見比べられます。

※大アルカナカードのマルセイユ版(上)とウェイト版(下)の違い
大アルカナカードのマルセイユ版とウェイト版の違い

 

小アルカナの絵柄の違い

先程も少し紹介しましたが、マルセイユ版の数札はスートの象徴(棒・金貨・剣・聖杯)のみであり、占いにはあまり適していません。

一方、ウェイト版の小アルカナは、複雑で印象的な絵柄により、細かな意味が読み取り易くなっています。

あと、マルセイユ版には「コイン(金貨)」のスートがありますが、ウェイト版では「ペンタクル(護符)」に変えられています。

その他の絵札のペイジ、ナイト、クイーン、キングなども、構成は全て同じです。

小アルカナの種類や意味については、こちらの「タロットカード小アルカナの意味一覧<ワンド、ペンタクル、ソ―ド、カップ>」を参考にしてください。

※小アルカナのマルセイユ版コイン(上)と、ウェイト版ペンタクル(下)
小アルカナのマルセイユ版コインと、ウェイト版ペンタクル

 

タロット占いでの使い易さの違い

それでは実際にタロット占いをするときの使用感の違いを紹介して行きましょう。

 

大アルカナでのタロット占い

大アルカナ22枚を利用したタロット占いであれば、マルセイユ版のタロットカードでも、ウェイト版でもさほど大きな違いはありません。

基本的なカードの構図や絵柄も同じですし、8番と11番の番号が異なるだけですから、どちらでも違和感なくタロット占いが楽しめます。

あえて申し上げると、ウェイト版のカードの方が、様々な象徴が描かれており、より多くの意味を含んでいると言えること。

そして解説書などの多くが、ウェイト版の絵柄なので、初心者はウェイト版から始めた方が、カードの意味は読み取り易いかもしれません。

※マルセイユ版とウェイト版の戦車のカードと解説書
マルセイユ版とウェイト版の戦車のカードと解説書

 

フルセットでのタロット占い

さらに小アルカナ56枚をと入り入れて、78枚でのフルセットで占うとなると、これが少し問題です。

マルセイユ版タロットの小アルカナは、基本的に数札がトランプと同じですから、カードの意味を読み取るのが困難です。

ウェイト版の解説書と照らし合わせながら、読み取ることも可能ですが、カードの意味を覚えるためには、丸暗記する必要があります。

その点、ウェイト版のデッキであれば、一目で意味を理解しやすく、占いの結果も読み取り易いでしょう。

※マルセイユ版とウェイト版のソードの3のカードと解説書
マルセイユ版とウェイト版のソードの3のカードと解説書

 

多彩なマルセイユ版のデッキについて

では最近のタロットカード事情を少しお話しましょう。

 

多彩なマルセイユ版タロットカード

以前はウェイト版タロットカードといえば、元祖とされるパメラ・コールマン・スミスが描いた構図を踏襲したものでした。

ですから、ウェイト版のタロットカードには、あまり種類が無かったのです。

それに比べマルセイユ版は、様々なテーマのタロットカードが作られ、その種類も本当に豊富です。

ですが、そんなマルセイユ版でも、やはり小アルカナの数札には、トランプのような象徴が描かれたものが多く、なかなか使いにくいところがありました。

それが2つのカードデッキの大きな違いでした。

※参考:白猫をテーマにしたマルセイユ版のホワイトキャッツ・タロットカード
白猫のタロットカード・ホワイトキャッツの特徴を写真付きで解説

 

時代と共に変わるタロットカード

そこで最近増えてきたのが、ウェイト版のタロットカードデッキにも関わらず、マルセイユ版のタロットカードのように、テーマをもっているものです。

代表的なものでは、「ゴールデン・アールヌーボー・タロット」や「タロット・ミュシャ」などです。

これらのタロットカードはウェイト版ですが、マルセイユ版のようにテーマがあり、小アルカナもテーマに沿って描き直されています。

それにより、マルセイユ版のような美しく個性的なタロットカードで在りながら、ウェイト版同様にフルセットでのタロット占いを楽しめるようになったのです。

※ウェイト版の色彩豊かなミュシャ・タロット
ウェイト版の色彩豊かなミュシャ・タロット

 

マルセイユ版とウエイト版どちらがいいの?

では結果的に、初心者にはマルセイユ版とウェイト版のどちらが良いのでしょうか。

それは使う状況によってです。

 

どこまでタロット占いを習得したいのか

例えば、大アルカナでしかタロット占いをしないなら、マルセイユ版でもウェイト版でも問題ありません。

でも、複雑な78枚フルセットでの占いにチャレンジしたいなら、ウェイト版の方がおすすめでしょう。

なおかつ、好きな絵柄やテーマを優先したいなら、マルセイユ版になる可能性が高く。

定番のタロットカードといわれれば、日本ではウェイト版の中でもライダー版に属する、「RWSタロット」や「A.E.Waiteプレミアム」などのカードデッキを指します。

元祖、ウェイト版ともいえるカードですね。

 

個人的なおすすめはウェイト版

私の個人的な意見では、初心者であれば最初はウェイト版で間違いないと思います。

そしてタロット占いに慣れて、色々なカードが欲しくなったら、お気に入りのマルセイユ版タロットカードを見つけるのも良いでしょう。

先程申し上げたように、ウェイト版のカードであれば、解説書もスムーズに利用できますから、タロット占いのやり方でまず迷うことはありません。

ですから、最初のタロットカードは、そんな使い易さを優先しても良いのかもしれません。

 

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